人の生涯年収は1.5億円から3億円程度だといわれています。納税などで差し引かれる金額を考えても、おそらく1億円近いお金は手にするはずです。
しかし手元の財布や電子マネー、銀行などの残高を確認すると、そんな大金はどこへやら。「給料はどこへ消えた⁉」「今月もお金がない!」となっている人は少なくないかもしれません。
そして今や“人生100年時代”。お金を賢く管理していく必要性は今までよりも増しているといえます。
そこでこの連載では、日頃から“お金の話題”に触れている金融ライターや編集者、ファイナンシャルプランナー(以下、FP)の皆さんに、自身のマネープランや資産管理のコツを教えてもらうことにしました。
今回は、金融ライター・椿 慧理(つばきえり)さんのマネープランを覗き見してみましょう。
投資を始めたきっかけは「銀行員だったから」
私は新卒で銀行へ入行し、その後10年間、外回り営業として投資信託や保険の提案・販売を手掛けてきました。現在はその経験を活かし、金融専門のライターとして活動しています。
主に投資のノウハウやマーケットの解説などを執筆していますが、実は私はもともと投資に興味があったわけではありません。大学では社会学を学んでいましたし、どちらかというと経済や金融には苦手意識があった方です。
ところが、縁あって新卒で入行した銀行で金融商品の知識を学ぶと、一気に「もっと資産運用への意識を高めたい!」との気持ちが強くなりました。「こんな大切なお金のこと、今まで誰も教えてくれなかった…」と思ったほどです。
私が銀行へ入行した当時は日経平均が8,000円ほどでしたので、あのとき右も左も分からない私に「とりあえず積立投資だけ始めなさい」と教えてくれた上司には今でも感謝しています。
計画的な貯蓄は「先取り貯蓄」が一番
銀行での営業経験を通じてたくさんの人の家計事情をのぞいてきましたが、貯蓄上手な人は必ずと言っていいほど「先取り貯蓄」を行っています。やはり計画的に貯蓄を行うためには、「あらかじめ収入から貯蓄額を確保しておく」という方法が一番です。
現在、私が収入から先取り貯蓄している内容は下記の通りです。
【投資】※メイン口座は楽天証券
・iDeCo:月6万8,000円
・NISA:月12万円
【貯蓄】
・外貨建て個人年金保険:月2万円
・普通預金:月3万円
NISAやiDeCo、個人年金保険などいくつかの資産に分散しながら貯蓄を行っています。
私は個人事業主として仕事をしていますので、iDeCoや個人年金保険は所得控除を受けられるのもありがたいポイントです。
現在は会社員の夫と共働きで子どももいないため、いくらか貯蓄に回す余裕はあるものの、今後も同様の収支が継続できるとは限りません。
特に、自営業という不安定な仕事柄、「貯蓄ができるうちになるべくしておきたい」という気持ちが強いかもしれません。
老後の収入源が一番の心配事
資産形成に取り組むうえで、最も心配に感じていることは老後の収入源です。
個人事業主は年金が「国民年金のみ」となるため、会社員や公務員の方に比べて老後の収入が少ないのは明白です。厚生労働省によると、現在国民年金を受け取っている方の平均月額は約5万6,000円ですので、年金だけでは到底暮らしていけないでしょう。
iDeCoや個人年金保険は、そういった老後の不安をカバーする役割があります。
iDeCoは私のような自営業者は毎月6万8,000円まで加入できるため、自ら年金の2階部分を構築するためにも自営業者は積極的な加入を検討することをおすすめします。
現在政府ではさらにiDeCoの上限額を引き上げる案も出ているようですので、会社員や公務員の方もぜひ一度検討してみるとよいかもしれません。
今後は住宅ローンの返済がスタート
現在、夫と2人で賃貸暮らしをしていますが、先日マンションを購入し、2025年3月の完成を待っているところです。その後は住宅ローンの返済がスタートするため、大きく収支の変化を迎えるタイミングに差しかかっています。
不運なことに、このタイミングで長らく続いたマイナス金利政策が解除され、さらなる利上げへの流れも強まっています……。住宅ローンの金利タイプもどうすべきか、現在まさに悩んでいるところです。
もちろん、貯蓄への取り組み方も見直す必要があるでしょう。
銀行時代に出会った人の中には、住宅ローンの返済スタートをきっかけに収支バランスを崩す人も多くいました。大きなライフイベントだからこそ、慎重に家計に向き合う必要があると感じています。
まとめ
私は、自営業者の「老後の年金が少ない」という不安を埋めるべく、iDeCoやNISAでの資産形成に取り組んでいます。ただし「誰でもとりあえずNISAとiDeCoをやっておけばいい」というわけではありません。
大切なのは「なぜ貯蓄に取り組むのか」という目標を明確にすることです。「子どもの教育資金を貯めたい」「住宅ローンを繰上返済したい」など、具体的な目標が分かれば、自ずと取り組むべき貯蓄の方法や金額も明確になるでしょう。
まずは自分のライフプランを考えたうえで、長期の目標を設定してみてください。
執筆者:椿 慧理(つばきえり)
新卒で入行した銀行で10年間勤務し、個人・法人営業として金融商品の提案・販売を務める。現在は銀行での経験を活かし、金融専門ライターとして活動中。
保有資格:2級FP技能士、1種外務員資格、内部管理責任者
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