人の生涯年収は1.5億円から3億円程度だといわれています。納税などで差し引かれる金額を考えても、おそらく1億円近いお金は手にするはずです。
しかし手元の財布や電子マネー、銀行などの残高を確認すると、そんな大金はどこへやら。「給料はどこへ消えた⁉」「今月もお金がない!」となっている人は少なくないかもしれません。
そして今や“人生100年時代”。お金を賢く管理していく必要性は今までよりも増しているといえます。
そこでこの連載では、日頃から“お金の話題”に触れている金融ライターや編集者、ファイナンシャルプランナー(以下、FP)の皆さんに、自身のマネープランや資産管理のコツを教えてもらうことにしました。
今回は、ライター・編集者の小川 真里奈さんのマネープランを覗き見してみましょう。
就職と出産のタイミングが逆!不安が大きかった専業主婦時代
フリーのライター・編集として活動している小川です。私は高校を卒業してから結婚して専業主婦になり、21歳のときに第一子を産んでいます。初就職は26歳。小さな会社で契約社員をしてから独立し、現在に至りました。
専業主婦は家庭を守る尊い仕事ですが「お金が手に入るか?」と言われれば、答えはNo。将来、満足に年金をもらえるか分からないなか家計収支がトントンの状態は不安で、ジワジワと心を蝕みました。
働こうにも、高卒かつ“新卒カード”を失っていて小さい子どももいるので、いわば「初っ端からマミートラック(※)」状態。お金の不安から、FPの資格を取ったりFXや株式投資の勉強をしたり、はたまた小さく副業をしてみたりなど、さまざまなことにトライしてきました。
少し迂回してしまったものの、今はこれらのすべてが役に立っているので「何が生きるかわからないものだな」と思います。
マミートラックとは:出産後の女性のキャリアが上がらず、同じ業務をグルグルすること
貯金のほとんどを投資に回す。預金目安は「6ヶ月生きられるくらい」
そんな私は、お金に関して2つの価値観を持っています。
- 金融商品を「貯金箱」にする
- 利益ではなく「元手」を増やす
世知辛い話、投資は「お金を持つ人がより儲けられる」仕組みになっています。つまり投資額が少なければ、回収できるお金も少ないのです(悲しい…)。逆に言えば、元手を増やせれば、返ってくるお金も増やせるといえます。
私は貯金が少ないので、小さな投資収益はなるべく使わず、再投資に回すことで元手を増やし「倍々ゲームで増えろ!!」と念じています。貯金の大半は投資に回しているので、私にとって金融商品は貯金箱代わりです。
(余談ですが、銀行残高が少ないため自費診療のお金が払えず「すみませんちょっと待ってください!!」と言って株を決済した苦い思い出があります…)
さて、株式はこんな基準で買っています。
【こんな株をこんなタイミングで買う!!】
- 好きな会社のもの
- 1株2,000円以下、基本的には1,000円以下で買える銘柄
- 長期的に見て「社会に求められそう」な分野・産業
- 日経平均が阿鼻叫喚になっているとき
株式は感覚値で「上がりそう」と思う会社より、「好きで応援したい」「将来人のためになりそう」と思った会社のほうが楽しく投資でき、株価も伸びる傾向にある気がします。
またリスク管理として「株価が0円になっても納得できる額」しか投資しないので、株価が高いものは買い(買え)ません。だから日経平均が爆下がりしているときはチャンス!amazonセールのときと同じ気持ちで株を選んでいます。
そしてだいたい株価が4倍以上になってからが利確(利益確定のための売却)の準備。ここまで育つのは時間がかかるので、たまに株価を覗く程度で長期運用しています。
時間が足りない3児子育て、目指すはスキル習得による時給アップ
お金を使うときは「使ったお金で、どれくらい幸せになれそうか」を考えています。例えば好きでもないのに衝動買いしてしまったグッズと大好きなお菓子なら、同じ1,000円でも後者の方が幸せになれるはず(!)
私はこれを、子どもの幸せにも当てはめています。
- 小さい子どもはお金より、親との時間に幸せを感じる
- 大きい子どもは親との時間より、お金を使ったアレコレに幸せを感じる
小さい子は、親と公園に行くだけで充分に楽しんでくれます。飲み物を買っても出費は数百円程度。もちろん有料施設に行くのも楽しいですが、それは70点の楽しみを100点にするようなもので、プラスアルファかもしれません。また小さい子はすぐ熱を出します。我が家では3人が風邪を移しあい、丸1ヶ月保育園に行けないこともザラにありました。
一方で、成長すると親より友達と有料施設へ行くことを楽しむようになり、教育費などもズシンとのしかかってきます。
つまり、子どもの求めるものは時間とともに「親からお金へ」移り、反比例していくのです。そこで小さい子を育てる私は「働くのはそこそこに。今は子と過ごす時間をとりながら、スキルという資産を作っていこう」と決めることにしました。
一般的にスキルを身につければ時給が上がるので、スキルはいわば「減らない元手」。焦る気持ちもありますが、子どもが手離れしてきた段階で思いっきり収入を増やせたら良いなと思います。
無理をしない片手間投資。気持ちがブレる投機はお預け
投機でいえば、FXでデイトレードをするのも好きでした。でも為替が大きく動きはじめるのは17時以降。子育て世帯にとっては一番バタバタしている時間帯ですし、夜中まで起きるのは身体に悪いですよね…。また投機によって気持ちがブレてしまうのも、つらい点でした。
そんな感じでFXによる短期トレードはお預けし、現在は株式などの長期投資のみで粛々と運用しています。またリスクに備えて分散投資をしており、株式のほか、投資信託でも国内外のファンド8件に少しずつ積み立てています。
大きく利益が出ることは少ないですが、まずは日々の生活第一!リスクを少なめにして気持ちの安定を優先し、今後も少しずつ投資額を増やしていけたらなと思います。
まとめ
貯金額の少ない人が本当にするべきことは投資よりも、収入を上げたり支出を下げたりして、貯金を増やすことかもしれません。しかし育児・介護・病気など、さまざまな事情で仕事に時間を使いにくいこともありますよね。
人によって制約が異なるなか「今あるもので、何ができるだろう」と考えてみたとき、私にとっては貯金を投資に回すことと、スキルへ投資することでした。仕事に時間を使わないという選択は諦めや無力さを感じて辛かったですが、人と比べず、オリジナルな方法でお金について考えていけたらと思います。
執筆者:小川 真里奈(おがわまりな)
バックオフィス改善コンサル企業を経てフリーのライター・ディレクターとして独立。主に導入事例、採用記事、金融メディアなどで執筆。
FP3級、薬膳コーディネーター。3児の母。
※『となりの資産運用』では、投資初心者向けのさまざまなコンテンツを掲載中。ぜひ他の記事もチェックしてみてください。