高校進学を控えたお子さんを持つ親にとって、学費の負担は気になる問題のひとつですよね。最近は「高校の学費無償化」が注目されていますが、「本当に自己負担はないの?」「所得制限って何?」と、内容が気になっている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、高校の学費無償化制度の仕組みや、どれくらい学費の負担が減るのかを詳しく解説します。さらに、地域による支援の違いや注意点もご紹介しますので、お住いの地域の制度を活用する際の参考にしてみてくださいね!
「高校の学費無償化」とは
「高校の学費無償化」とは、経済的な理由で進学が難しい高校生を支援するために設けられた制度です。正式名称は「高等学校等就学支援金制度」といい、公立高校や私立高校の授業料を軽減することができます。
対象となるのは国内の高等学校や特別支援学校の高等部、高等専門学校、専修学校などに通う学生です。
2010年の導入当時、支援金額は公立と私立どちらに通っていても同じでした。しかし、私立高校は支援金以上に授業料が高いことや、一律の金額で支援を行っても経済的な格差が埋まりにくい状況を受け、2020年に法改正が行われています。
その結果、私立高校に通う学生には支援金額が加算され、より手厚い支援を受けられるようになりました。
無償化により、高校の学費はどれくらい安くなる?
2025年現在、公立高校と私立高校どちらに通う場合も、経済的な負担は大きく軽減しています。ただし、公立高校と私立高校では無償化の対象となるものや、制度の仕組みが異なるので注意が必要です。
それぞれのケースについて、どれぐらい安くなるのか詳しくみてみましょう。
公立高校に進学する場合
公立高校では、原則として授業料が全額無償化されており、通常であれば年間約11〜12万円がかかる授業料の支払いはありません。
ただし、世帯年収910万円以上はその支援から外れるため、高校の学費を満額支払う必要があります。
なお、この所得制限にかかるかどうかは、両親の就業状況や扶養している子どもの数によっても変わります。以下の目安を参考にしてください。
子の数 | 11万8,800円が支給される世帯年収 | |
共働き家庭の場合 | 子1人(高校生) | ~約1030万円 |
子2人(高校生・中学生以下) | ~約1030万円 | |
子2人(高校生・高校生) | ~約1070万円 | |
子2人(大学生・高校生) | ~約1090万円 | |
子3人(大学生・高校生・中学生以下) | ~約1090万円 | |
専業主婦(夫)家庭の場合 | 子1人(高校生) | ~約910万円 |
子2人(高校生・中学生以下) | ~約910万円 | |
子2人(高校生・高校生) | ~約950万円 | |
子2人(大学生・高校生) | ~約960万円 | |
子3人(大学生・高校生・中学生以下) | ~約960万円 |
参考:文部科学省「年収目安」
また、無償化対象の家庭でも、以下のような費用は別途自己負担となりますので、注意しましょう。
教材費や修学旅行費 | 授業で使用する教科書やプリント、実習費用などが含まれます。特に修学旅行や部活動費は学校によって大きく異なるため、あらかじめ予算に組み込んでおきましょう。 |
制服代や入学金 | 公立高校では授業料は無償ですが、入学時の制服代や入学金(平均約2万〜3万円)は必要です。 |
また、無償化の対象となるのは、以下の公立高校です。
- 全日制高校
- 定時制高校
- 通信制高校
公立高校の場合、2009年4月〜2014年3月までの入学者については、全員が授業料を徴収されなかったのですが、その後何回かの政策変更を経て、現在のような制度となっています。
私立高校に進学する場合
私立高校では「就学支援金」という形で授業料が補助されます。この補助金額は、保護者の世帯年収や在籍する学校の授業料によって異なり、年収に応じて以下3つの支援枠に分けられています。
世帯収入 | 支援金額 |
年収590万円未満 | 年間約39万6,000円(※) |
年収590万円~910万円未満 | 年間約11万8,800円 |
年収910万円以上 | 支援なし |
※私立高校(通信制)は29万7,000円が支給上限
画像出典:文部科学省「高等学校等就学支援金リーフレット(概要版)」
この就学支援金を受けるためにも「世帯年収が約910万円未満であること」という要件を満たす必要があります。この所得制限の対象となるかどうか、以下の目安も参考にしてください。
子の数 | 11万8,800円が支給される世帯年収 | 39万6,000円が支給される世帯年収 | |
共働き家庭の場合 | 子1人(高校生) | ~約1030万円 | 〜約660万円 |
子2人(高校生・中学生以下) | ~約1030万円 | 〜約660万円 | |
子2人(高校生・高校生) | ~約1070万円 | 〜約720万円 | |
子2人(大学生・高校生) | ~約1090万円 | 〜約740万円 | |
子3人(大学生・高校生・中学生以下) | ~約1090万円 | 〜約740万円 | |
専業主婦(夫)家庭の場合 | 子1人(高校生) | ~約910万円 | 〜約590万円 |
子2人(高校生・中学生以下) | ~約910万円 | 〜約590万円 | |
子2人(高校生・高校生) | ~約950万円 | 〜約640万円 | |
子2人(大学生・高校生) | ~約960万円 | 〜約650万円 | |
子3人(大学生・高校生・中学生以下) | ~約960万円 | 〜約650万円 |
参考:文部科学省「年収目安」
また、私立高校の授業料は学校によって差が大きく、一般的には年間40〜70万円ほどだといわれています。授業料が年間50万円だと仮定して、就学支援金を利用した場合の負担額をみてみましょう。
世帯収入 | 実際の負担額 |
年収590万円未満 | 年間11万円 |
年収590万円~910万円未満 | 年間約38万円 |
年収910万円以上 | 年間50万円 |
※ 支援金額は自治体や学校によって異なる場合もある
年収によって支援金額の区分があると一見分かりにくく感じますが、収入による格差を減らし、金銭的な理由で進学を断念する事態を防いでいます。
高校無償化には地域差あり。各地の支援状況
ここまで説明してきた国の制度とは別に、都道府県が独自に高校の無償化に向けて支援しているケースもあります。いくつかピックアップしましたので詳しくみてみましょう。
東京都:2024年度から所得制限廃止、都立高校は実質無償化
東京都では、2024年度から高校授業料の実質無償化にむけて所得制限が撤廃されました。世帯年収にかかわらず、都立高校や私立高校の授業料が支援されます。
【都立高校などの授業料無償化】
東京都では、都立高校等に通う生徒の授業料年間11万8,800円が、所得にかかわらず全額補助されます。これは国の就学支援金制度に基づいていますが、東京都独自の施策として、世帯年収約910万円以上の家庭も対象となる点が特徴です。
これにより、すべての家庭が授業料の負担を気にせずに進学先を選べるようになりました。
【私立高校に通う場合も授業料軽減へ】
私立高校に通う場合、国の就学支援金に加えて、東京都独自の「私立高等学校等授業料軽減助成金」を利用できます。この助成金により、都内私立高校の平均授業料である年間48万4,000円を上限に補助が行われます。
大阪府:私立・公立の完全無償化に向けて段階的に拡充
大阪府では、公立高校だけでなく私立高校も対象に含め、2026年度までに所得制限を完全になくし、すべての世帯の授業料を実質無償化することを目指しています。
<無償化に向けての流れ>
- 2024年(令和6年度):高校3年生から適用(定時制・通信制は4年生含む)
- 2025年(令和7年度):対象学年を拡大
- 2026年(令和8年度):全学年で所得制限を完全撤廃
参考:大阪府「令和6年度大阪府の高校等授業料無償化制度(授業料支援金)について」
参考:大阪府「私立高校生等に対する授業料等の支援について」
また、私立高校に通う生徒の場合、国の就学支援金に加え大阪府独自の支援金を上乗せすることで、高い授業料をカバーする仕組みとなっています。経過措置の最中である令和7年度は全世帯が年間63万円の支援を受けられ、授業料が63万円以上でも年収800万円までの世帯には実質無償化となるよう追加で支援が行われます。
愛知県:県の補助金制度に加え、名古屋市も独自に授業料をカバー
愛知県では、国の就学支援金に加えて、以下の補助金制度(愛知県私立高等学校等授業料軽減補助金)を導入しています。
<年収による区分と支援額>
年収720万円未満(目安) | 年収720万円以上~840万円未満(目安) | |
※国の就学支援金+県からの補助金 | 授業料支援額年間43万5,600円 | 年間21万8,400円 |
入学料支援額(一年生のみ) | 20万円 | 10万円 |
愛知県の補助金制度は、高校に通う学生と保護者が愛知県内在住で、かつ県内の私立高校に在学している場合が対象です。県内に住んでいても県外の高校に通う場合は国の就学支援金のみが適用となります。
また名古屋市では、愛知県の補助金制度の対象外となる世帯をフォローする形で、世帯年収840万円以上の世帯にも授業料の補助を行っています。
参考:名古屋市「私学助成」
北海道:独自の授業料軽減制度と給付金制度を導入
北海道では私立高校に通う学生に対し、国の就学支援金のほかに以下2つの制度を導入しています。北海道の支援制度は、低所得の世帯に対してより手厚い補助を行っている点が特徴的です。
【授業料軽減制度】
年収目安約590万円未満の世帯は月額最大2,000円(年間2万4,000円)の支援が上乗せされます。
【奨学のための給付金】
生活保護世帯または年収270万円未満程度の世帯(家計が急変し収入が非課税相当に激減した世帯を含む)が対象の給付金です。収入や通学する高校、子どもの年齢や人数によって支給額は異なりますが、年間5万2,100〜15万2,000円の支援が上乗せされます。
高校無償化の恩恵を受けるための注意点
高校無償化制度を活用するためには、いくつか注意点があります。制度を最大限に活用するために、以下のポイントを押さえておきましょう。
都道府県によって制度が異なる可能性がある
高校無償化の基本的な仕組みは全国共通ですが、ここまで解説したように各都道府県によって支援内容や条件が異なる場合があります。すべての都道府県で同じ金額の支援を提供しているわけではありません。
とくに私立高校に進学する場合は、自治体独自の支援金が家庭での負担額に大きく影響します。進学先となる地域の制度を事前にしっかり確認しておくことが重要です。自治体や学校のホームページなどを通じて、最新の情報をチェックしておきましょう。
就学支援金は直接受け取るものではない
就学支援金は、保護者が直接受け取るものではなく、学校が代理で受け取る仕組みです。もし家庭の負担額がある場合は、支援金が授業料に充てられた後、差額を支払う形になります。
公立高校の場合は多くの家庭で授業料全額がカバーされますが、私立高校では授業料が支援金額を超えるケースもあるため、差額分の負担額をきちんと把握しておくとよいでしょう。
また、支援金は授業料のみに充てられるため、教材費や部活動費、制服代などの実費負担は別途必要です。私立高校では、この差額分が高額になる場合もあるため、余裕を持った予算を立てておくことをおすすめします。
高校の無償化制度には申請が必要
高校の無償化制度を利用するためには、申請が必要です。その際は、以下のポイントに注意してください。
申請書類の準備 | 無償化の制度に申し込む際、世帯年収や扶養状況を証明するための住民票、収入証明書などが必要になるケースが一般的です。期間に余裕を持って用意しましょう。 |
申請スケジュール | 申請時期が学校ごとに異なる場合があるため、入学後すぐに期日を確認しましょう。申請漏れがあると支援を受けられなくなってしまうため、注意が必要です。 |
再申請がある | 就学支援金の適用は年度ごとに行われるため、毎年再申請が必要な場合があります。 |
高校の入学前後の時期は忙しくなりがちですが、申請によって学費の負担額に大きく影響するため、忘れずに手続きを行いましょう。
まとめ
高校の学費無償化制度は、子育て中の家庭を支援する大切な取り組みです。地域や学校によって支援内容や条件が異なります。安心して進学できるよう、お住まいの自治体の制度を早めに確認しておきましょう。
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執筆者:いしかわ りの
赤字家計になったことをきっかけに、家計管理に目覚めたWebライター。支出を見直し、貯金ができる仕組み作りに成功した。多趣味かつオタク気質なため、さまざまなお金の誘惑と日々戦っている。
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